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[workshop Report]町民が語りあった「佐田岬アウトドアフィールドの未来」

「伊方町を アウトドアの聖地に」

小さな町の挑戦が、今スタート!

四国最西端の町、愛媛県伊方町。ここで今、日本一細長い佐田岬半島の特異な地形と独自の自然・風土を活かそうと、アウトドア推進計画が始まりました。事業のスタートアップとして、2022年2月には県内のアウトドア愛好家を集めたオンラインツアーを開催。それに続いて2022年3月には、町内の事業者10名が集まり、「アウトドア」をキーワードにした町おこしで、佐田岬半島にどんな可能性があるのか、どんな姿を目指していくのか、そして自分たちに何ができるのかを話し合いました。

まずは、2月に開催したユーザー向けオンラインツアーの振り返りから会がスタート。まだまだ知られざる佐田岬半島のキャンプ場や、周辺のスポットを含む「佐田岬ワンダーフィールド」に期待する声やユーザーのアイデアを振り返りました。

[ユーザーの声は前記事をご参照ください]

[workshop Report]聞かせて!「佐田岬アウトドアフィールド」への期待

 

町内事業者さまの不安…

背中を押したゲストの声

「ユーザーからの期待には応えたい。しかし…。」新しい可能性に期待する一方で、今回参加した事業者の皆さまは、地域の課題をすでに肌で感じていました。「今あるキャンプ場や漁場、その周辺で一部マナー違反が見られる。」「釣り人と地元漁師の間のトラブルで釣りを禁止する漁場が増えている。」「働き手不足で閑散期の運営は大丈夫だろうか…。」アウトドアブームを背景に、全国的にアウトドア人口が増加。それに伴い、こういった課題を抱えるのは佐田岬半島に限ったことではありません。そんな中で、何ができるのか、また何をするべきなのか。今回のワークショップでは、実際にアウトドアシーンの前線で活躍するゲスト3組を迎えて、より具体的な課題と可能性をそれぞれに伺いました。

 

[1]町ぐるみでアウトドア推進に取り組む先輩、

高知県土佐清水市

1組目のゲストは、高知県土佐清水市観光商工課さま。佐田岬半島と同じ、海の町である土佐清水市では平成30年度に「Snow Peak Tosashimizu」をオープンし、周辺の観光施設も連動しながら観光誘客を促進。令和3年度には土佐清水ジオパークが日本ジオパークの認定を受けるなど、地域資源を活かしながらアウトドアによる町おこしを地域ぐるみで行っています。大規模なキャンプ場整備の経緯や現在の課題と目標を伺い、観光施策としてのアウトドアの可能性と、その一方にある地域課題まで学ぶことができました。

 

[2]参加者の心を打った、

レジェンド寒川一さんのトークショー

2人目は、アウトドアライフアドバイザーの寒川一さん。寒川さんはアウトドアライフアドバイザーとしてメディア出演や著書も多数。「UPI OUTDOOR PRODUCTS」のアドバイザーを務めるほか、2005年から神奈川県の三浦半島を拠点に浜辺で“たき火”を提供するカフェをオープン。全国でアウトドアトレンドを牽引する層から支持を集める方です。ご自身の、日本全国、世界での実体験のほか、アウトドア先進国からの学びや気付き(例:北欧に根付く自然享受権の概念や、アメリカの国立公園の在り方)を交えて、「自然とキャンプのバランス」、寒川さんが考える「日本のキャンプ場のありかた」をお話いただきました。「未来に何を残すべきか」「10代後の子孫のことを考えた行動を」「地域の魅力はすべて足元にある」。寒川さんのスピーチの後、その言葉を心に刻むように繰り返しつぶやく参加者の姿が多く見られました。自然共生・地域共創の視点で話し合えば、利害関係以外の新しい解決の緒が見つかるのではないか。今、全国で課題を抱える地域にとって、アウトドア推進の立場では後発である自分たちだからこそ、先駆者となることもできるのではないか。寒川さんのお話に、“レジャー”や“観光施策”として以前の、“アウトドア”の在り方を学ぶことで、不安を超える期待を参加者同士が共有した瞬間だったと思います。

 

[3]地域のアウトドアシーンを牽引する

佐田岬生まれのホープ、水沼佑太さん

3人目は、香川県まんのう町地域おこし協力隊の水沼佑太さん。伊方町出身の水沼さんは現在、香川県まんのう町地域おこし協力隊としてアウトドアプログラムづくりに携わっています。主な活動では2020年に「OMUSUBI HIKE」をスタート。登山ガイドとして香川と周辺の山を案内しています。今回は水沼さんの地域での活動をご紹介いただいたほか、伊方町出身であり、アウトドアをこよなく愛し、またアウトドアを生業とする難しさとともに喜びと大きな可能性を知る水沼さんならではの「佐田岬半島でやってみたいこと」を伺いました。スピーチ後には会場から「水沼くんと佐田岬の歩きたい」「水沼くん、帰っておいで!」のラブコールが。同じ四国で、ローカルのアウトドアシーンをたくましく牽引するホープに会場が沸きました。また、「世界を見てきた水沼さん、寒川さんが感じる佐田岬半島の魅力は?」という会場からの質問に、お二人からでた答え、「2つの海」は地元住民にとっては目からウロコの体験でした。北に瀬戸内海、南に宇和海をたたえる細長い佐田岬半島は、海から登る朝日と海に沈む夕日をひととろに臨むことができます。「世界を歩けば海の貴重さに気づきます。朝日から夕日まで両方が見られることはすごい。海から海へ歩くことは一つの夢でもある。」地元住民にとっては当たり前の日常。その魅力に気づかせてくれたゲストの言葉でした。

 

「小さな町」だからこそ、できること。

最後に、参加者によるブレインストーミングを実施。参加者10名が2チームに別れ、「これからの佐田岬ワンダーフィールド」について意見とアイデア出しを行いました。和気あいあいとした雰囲気の中で飛び交う奇譚ない意見。参加者全員が、わが町の魅力に改めて向き合い、どうありたいか、何ができるか、未来について真剣に考え意見を交わす有意義な時間でした。そして、佐田岬半島をアウトドアの聖地とするときに必要なものはなにか、ここで出た意見、アイデアの主なものは以下です。

●まず、自分たちが町のことをもっと知る必要がある

●人材を育て地域外もまきこんでいこう

●地域資源と既存施設を活用しよう

我が町ならではの魅力に気づき、地域資源を活かすことで「自分たちらしい未来型のキャンプ場」を目指そう、という意見でした。

 

伊方町は小さな町ですが、今回集まった10名の事業者さんたちが、冗談を言いながら、時に真剣に、佐田岬半島にある夢や課題を語り合う姿を見て、この小さなコミュニティだからこそできることがあると実感するワークショップでした。忖度なし!本音を語りあえる密な関係性の中でこそ、「この町にしかない魅力」が見つかり守られていくと。「佐田岬ワンダーフィールド」は、まだ始まったばかり。町の力でつくりあげる佐田岬半島ならではの“ワンダー”があふれるアウトドアフィールドに、ぜひご期待ください。